2023年1月5日木曜日

失うものを最小限にしたい


 人の不幸を喜んでいるわけではないんですが、折れた歯をいかにキレイに治すのか、天然の歯をいかに残すのか、神経はなるべく取らないように生体の治癒能力を邪魔しないようにするか・・・と色々考えていると、こういったケースに出会います。


顔面強打で歯がポッキリと折れてしまった。

しかも、折れた歯の隣(写真 折れた歯の左隣り)は歯の位置がズレてしまっている。


折れた歯の神経は完全にむき出しになって、しばらく時間が経過していたので神経は取りました。そして、不幸中の幸いだったのが、「折れた破片を回収した」ということでしょうか。


これを使わない手はありません。


慎重かつ丁寧に根管治療(神経を取る処置)を行い、折れた破片を特別な処理をして、折れたところにピッタリ合うように接着させています。


一方、ズレてしまった隣の歯


たいてい、この時点で「神経をとりましょう」となる。


しかし、神経の反応を調べてみると「なんとなく感じる」とのこと。


歯はズレてしまったけど、神経や血管はすべて断裂していないという判断をしました。


そこでひたすら慎重に待機して”5年後”


神経はにぶいものの、きちんと反応するし、折れた歯の接着はまったく問題なし。


神経取って、キレイなセラミックという選択肢もありますが、


やはり天然の歯の方がキレイですし、なにより本人にあっています(当たり前ですが、本人のものなので・・・)。


・なるべく生体に優しく

・天然の色調や歯の損失を最小限に

・治療介入で治癒を邪魔しない(あえて何もしない)


知識と技術を総動員して、これを達成したいものです。



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