国民皆保険ということで、定められた保険料を収めれば全国どこでも一律の治療費で医療を受けることができます。
これは世界を見渡しても、素晴らしい制度であることは間違いありません。
旅先であっても出張先であっても、そこに病院があれば医療を受けられるなんて、本当によくできたシステムです。
ただし、この健康保険の制度がすべて素晴らしいかというと、私はそうは思いません。
全国一律でどこでも受けられるというのは便利ですが、これを利用するのは不慮の事故に巻き込まれたですとか、急な病気を発症したですとか、食中毒で動けなくなったなど、急を要する時には非常に優れています。
ですが、大抵は自宅や職場や学校周囲の行動範囲で生活しているわけなので、かかるのは近所や行きつけ(かかりつけ)がほとんどでしょう。
それと歯医者をどう選んでいいのか?というのは永遠のテーマかのように雑誌やインターネット上ではレビューされています。
全国ほとんどの歯科開業医(もちろん病院も含めて)は、この保険制度を扱って診療行為を行っています。
全国一律の料金で、一定の治療を受けられるという理念は前述の通りですが、場所や設備、歯科医師の技量や経験は千差万別です。一律になるわけがありません。
一律に受けられるはず・・・という考えが、歯科医院選びを難しくしているといっても過言ではないでしょう。そして、他との違いを謳った広告を打つ歯科医院も、そんなに多くはありません。(実際は広告できないような規制があるため)これも歯科医院選びをより一層難しくしています。
ではなぜ、そんなことが起こるのでしょうか。
まず保険診療上、治療の行為は、病名があって、それに対して何をどうするかということに対して、細かく診療点数が決められています。
要するに病気がないと、何も治療費は発生しないのです。
例えば、虫歯の治療費だと、虫歯の箇所を削って詰めるで点数が発生します。
その点数は、使用する材料などによって多少の違いはありますが、ほとんど同じです。
このことから何が起こるかというと、虫歯は削って詰める数が増えるほど、治療費は高くなります。
そして、もう一つ言えることは、虫歯を雑で速くてさっさと終わった方が治療費に対する治療時間が短くなるので実質的な利益が大きくなります。
虫歯を丁寧に時間をかけて、精密に・・・そして詰める材料の性能をいかんなく発揮するためにプロトコールに従って、劣化しないように保管して、なるべくフレッシュな材料を使うってことに注意を払っても、払わなくても治療費は同じです。
現行保険制度では、基本に乗っ取った耐久性のある治療は現実無理なのです。
いやいや、うちはちゃんとやっているという批判は受けるかもしれません。
しかしながら、それに反論はできます。
もし仮に虫歯の治療を懇切丁寧に保険でやったとしましょう。
治療費も一律の値段でやったとしましょう。
その影では、歯科医師が挨拶程度で終わらせて、歯科衛生士やスタッフが、さも歯科医師がやったかのような診療行為が行われていて、そこから十分利益を得られるからやっていけるということは、無視できません。
実際問題、そういったことがないと絶対に経済的には無理なのです。
粗悪で、コストを極力カットした治療を短時間で施すか、丁寧にやっても、どこかで利益を上げられるシステムを動かしているというのが保険制度の現実です。
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